2008年3月21日金曜日

俺の回想録 ≪Part10:我が家にテレビが来た≫_Reminiscences_TV_house came_

私達が幼い頃は、田舎の家庭での娯楽と言えば①ラジオを聴くこと ②年に1度のお祭りと祭りの時に来る旅役者の芝居を見ること ③役場の人が年に1・2回町の公会堂で上映する映画の鑑賞 ④学校行事である運動会・学芸会 などでした。
テレビが田舎の家庭で購入し始めたのは1960年前後の頃で、田舎でも裕福な家にしかありませんでした。ですから、私も小学3・4年生頃は友達と近所の「テレビのある家」へ夕方になると「テレビを見せてください」と言ってその家の人達と一緒に見せてもらっていました。
当時のテレビ番組は、<NHK>と<NHK教育>と<民間放送>の3局だけで、画面は14インチの白黒でした。スイッチを入れ、しばらくすると画面が映りました。また、スイッチを切ると画面中央に光の点がしばらく残っていました。
子供番組は少なかったけど、みんなテレビが自分の家に有ったら良いな~と思っていました。
私達は、学校に居る時もよくテレビ番組を友達と夢中になって話し、友達が見れ無かった番組を自分が見た場合にはチョット自慢気になったものです。
私は、よく父にテレビを買って欲しいとねだりました。しかし、父は毎回「テレビは高価だからだめだ」でした。ある日、母が「あそこの駄菓子を売っているゲタ屋さんが、テレビを買ったら子供たちのお菓子が売れるようになったと聞いたけど」と父に言いました。でも、だめでした。
母は、父が「買って良し」と言えば買ってくれそうでした。
それから数日過ぎたある日、我が家にテレビの購入チャンスがやってきたのです。
私の父は、お酒も、タバコも嗜みますが量は多くはありません。お酒を飲んだ時は、賑やかでキマエの良い人になってしまうのです。
その日、夜遅く父は近くの家の結婚式から酒に酔って帰宅したのです。
母と私達兄弟4人は寝ないで父を待っていました。それは、母から夕食の時「今日、お父さんは酔って帰って来るからお願いしたらテレビを買ってくれるかもしれないよ」と言われたからです。
夜10時頃、母の言ったとおり父は酒に酔って帰ってきました。そして、私達兄弟は父にテレビを買ってくれるようお願いしました。父は、「分かった分かった」と言って電話で電気屋さんにテレビを注文してくれたのです。
その夜は、私も兄達も嬉しくて眠れませんでした。
そして次の朝、父はいつものように店で仕事をしていると、1台のダンボールの箱を積んだトラックが店の前で止まりました。運転席からニコニコ微笑みながら電気屋さんが降りて父にテレビの注文のお礼を言い始めると、父はビックリして「私は注文などしていない」と言い出したのです。
しかし、もうテレビは配達して来ているのです。父は、母から昨夜の説明を聞いてシブシブ承諾したのです。そして、ついに我が家にテレビが来たのです。 _TV_house came_
次の日から、夕方になると家の近所の大人達と子供達(私の遊び仲間等)が我が家にテレビを見に来るようになりました。我が家の6帖の居間は、まるで小さな映画館のようでした。
私は、その時チョット自慢気になった事を覚えています。
今日の話は、ココまでとします。
次回は、Part11: 私の初恋_First love_ をお話します。

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